2007年9月のコラム
その日は特に忙しく、夜11時まで仕事に追われて、やっと帰宅した時のことでした。
家内は、次男の運動帽に青色の鉢巻きを縫っていたのですが、疲れが溜まっていて眠かったのでしょう。帰ってきた私の顔を見ると「あたし、すごく疲れているの。明日までに、この運動帽に鉢巻きを縫わんといかんけど、ちょうど半分まで縫ったから、あとは頼むね!!」と言って、二階に上がって寝てしまいました。
その日は、ラジオやケーブルテレビ、講演の原稿など…仕上げなくてはいけない原稿を5つも持って帰っていましたので、≪俺も今からする仕事があって忙しいのだから、そんな余裕はないよ≫と心の中で呟いたのですが、いつも家のことはしないんだから…という家内の言う事も当たっていましたので、『そうだな!』と思いながら次男の鉢巻きの残りの半分を、見よう見まねで初めての“祭り縫い”で縫っておきました。
翌日の夜、小2の次男が私に「お父さん、ぼく全校リレーに選ばれたっちゃが。鉢巻きを縫ってくれてありがとう!!」と喜んで報告に来てくれました。昨年、僅差で全校リレーに選ばれずに悔しがっていた次男に「よかったね!!」と声を掛けながら、もっと心を込めて一針一針縫ってあげればよかった…と反省しました。
忙しいの『忙』という字は、「心を亡くしている…つまり心が亡い状態」を表していると言われます。形は忙しくても、いつも心だけは余裕を持っていたいものですね。 次男に両親それぞれの想いを込めて鉢巻きを縫ってあげたい…と家内が考えていたのか?本当に自分が疲れて眠かったのか?どうかは分かりませんが、私にとっては次男と深く関われるとてもよい体験が出来たことを有難く思っています。
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