2017年11月 コラム
先月末に開催しました、第23回麗明堂謝恩講演会の講師にお呼びしました みやざき中央新聞 編集長の水谷もりひと氏の著書『日本一心を揺るがす新聞の社説3』を読んでいて、一番心に響いた【少し損をする生き方】について、お話させていただきます。
この言葉は、熊本の阿蘇で自作農をやりながら、陶芸家として暮らしている北川八郎さんの言葉です。北川さんは、人生においても、商売においても、『繁栄の法則がある』と説き、その基本の一つは、【与える生き方】と言っています。与えるということは、積極的な愛の実践!その生き方に徹していくと確かに人生も商売も繁栄するようです。しかし、北川さんは同時に消極的な与え方も提案しています。「人に良きものを与えることができない人は、少し損をして生きていくといい」と。
例えば、車を駐車場にとめるとき、高齢者や小さな子どものいる人に譲るために、自分はわざわざ遠くのスペースにとめるとか、スーパーで食料品を買うときに、皆が日付けの新しいものを買うと古いものが売れ残り廃棄処分されるので、わざと賞味期限の近いものを買うとか、スーパーのレジに並ぶときも、わざと列の長い方に並ぶとか。ちょっとしたことで良いんです。少し損をする方を選ぶのです。
商売でも利益優先だと最小限のサービスしか考えませんが、少し損をしてお客様の笑顔を第一に考えていたら、きっとお客様に支持されて繁盛店になるのです。「少し損をする生き方をしていくと対立から抜け出し、生きていくことが楽になります」と、北川さんは笑ってそう仰います。
今まで一番を目指して精一杯やってきた私にとって、あまりにもショッキングな内容でした。しかし自分がクライアントとしてカウンセリングを受けるとしたら、きっと北川さんの言われるような人に話をしたいと思うでしょう。控えめで、消極的で、少し損をする生き方を積極的に選んでみるというのは、きっと日本人の美徳に適っているのでしょうね。