2014年2月のコラム
皆さんは、『ハレとケ』という言葉を耳にしたことがありますか?
「ハレとケ」とは、民俗学者である柳田國男氏によって見出された 民俗学や文化人類学における日本人の伝統的な世界観の一つで、毎日同じような行動をしている日常の生活のことをケ(褻)と言い、普段とは違う非日常の生活をすることをハレ(晴れ)と言います。
例えば旅行や外食に行くとか、お正月やお祝いお祭りなどの非日常的なことを「ハレ」と言います。
「ケ」という言葉は、近ごろでは使われなくなりましたが、「ハレ」という言葉は、今でも「晴れ着」「晴れ姿」「晴れの舞台」などといった形で使われています。
例えば江戸時代などは、世の中の変化も殆どなく、大多数の人は毎日同じことの繰り返しをしながら過ごしていたので、たまにしかない楽しみ(お正月やお祝いお祭りなど)を指折り数えながら、きつくて辛い仕事を頑張ってきたのです。「あと、何日で祭りがやって来る」という風に、楽しみを待ちながら・・・
それを、子どもたちも指折り待ち続けて、あの有名な『お正月の歌』「もう~、い~くつ、寝~る~と~、お正月」が歌われるようになったようです。
つまり、昔は、一年間のほとんどが、いつも変わらない平凡で質素な「ケ」の生活だったので、たまに非日常の「ハレ」があることによって楽しみを見つけて頑張って来れたのかもしれません。
しかし、今の私たちの生活を見てみると、食事一つをとってもお肉や魚や揚げ物などが一日の中で出ない日はありませんし、服装も昔なら「ハレ」の日にしか着られなかったようなものを毎日着ているのですから、江戸時代の人と比べると私たちは毎日「ハレ」の生活を しているのかもしれません。つまり、現代を生きる私たちは、ハレの生活が当たり前のケの生活になってしまって、ハレとケの区別が薄らいでいるのかもしれません。ですから、現代人は、余程の非日常性を感じなければ「ハレ」を意識しないようになっているのです。
だからこそ、食事でいえば、ご飯とみそ汁と野菜のおかずを基本にして、普段の生活を繰り返して、体のリズムを整えることによって、真の健康作りが出来るのだと思います。今は、お金さえあれば何でも手に入る便利な世の中ですが、ご馳走がいつでも食べられる今の方が病気を持つ人が多いという皮肉なことが起きています。皆さんも健康のために、普段の生活を少しハレからケに変えてみてはいかがでしょうか?
コメントを残す