「オキシトシンの役割」触れられて育つ子どもの心①

　皆さん　こんばんは！　不妊相談ひとすじ２５年　宮崎市の漢方相談薬局・漢方の麗明堂、一般社団法人認定の子宝カウンセラー　薬剤師の金丸です。

　今日は、生命尊重ニュースの11月号にとても興味深い記事がありましたので、ご紹介させていただきます。

「赤ん坊は、抱き癖がつくから、あまり抱きすぎるのはよくない・・・」という話は、皆さんもお聞きになられたことがあると思います。これは、躾の上で意味があったのかもしれませんが、いろいろなデータから見ると、面白い裏付けがたくさん出てきます。

　今回ご紹介する山口創さんのお話はとても分かりやすく面白い内容ですので、ぜひご覧いただけたらと思います。

山口 創氏（やまぐちはじめ）　桜美林大学リベラルアーツ学群教授

　1967年静岡県に生まれる。聖徳大学人文学部講師を経て、桜美林大学リベラルアーツ学群教授、臨床発達心理士。早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は臨床心理学、身体心理学。『子供の「脳」は肌にある』（光文社新書）『手の治療力』（草思社）『幸せになる脳は抱っこで育つ』（廣剤堂出版）『皮膚は「心」を持っていた！』（青春出版社）など著書多数。「世界一受けたい授業」「チコちゃんに叱られる」などテレビでも活躍。「触れる」ことをテーマに、子育て、看護・介護、セラピスト等様々な人を対象に研究や講演活動を行っている。

　触れられて育つ子どもの心

　サルの実験からわかる 触れる大切さ

　アメリカの有名なハーローの仔猿の実験をご存知でしょうか。針金でできた代理母と毛布を巻いた代理母を比べると、仔猿はたとえミルクは針金手でできた代理母から与えられても、毛布で巻いた代理母の方にずっとしがみついていたのです。このことからもわかるように、仔猿は肌の感覚で自分を安心させてくれる相手に愛着の関係を築きます。仔猿にとって肌の欲求というのは、空腹を満たしてくれる一時的欲求よりも強く、これは本能的な行動だといえるでしょう。人間にとっても、抱っこしたりなでたりして、直接赤ちゃんの肌に触れてあげることがいかに大切か、という事実が示唆されています。

　オキシトシンの役割

　近年の研究で、こうした愛着の関係を築くために重要な役割を持つオキシトシンというホルモンがあることが分かってきました。オキシトシンは脳の視床下部で生産され、下垂体から放出され、脳と身体に様々な影響を与えるホルモンです。親子だけでなく、恋人同士でハグなどで触れ合うことでもっとも多く分泌されますが、必ずしも身体接触しなくても、「優しい声をかける」「アイコンタクトをとる」などの、「心に触れる」ような行動でも分泌されることも確かめられています。進化的にみると、オキシトシンはそのもとになるバソトシン(Vasotocin）から進化しました。そして胎生で子供を出産することができるように、子宮を強く収縮する機能を担うようになりました。また単独ではなく、つがいで子育てをすることができるように、夫婦のきずなを強める役割も担うようになりました。特に人類の場合は、直立二足歩行ができるように骨盤の形が大きく変化し、そのため産道が狭くなっているため、出産のためにはより強い子宮の収縮が必要となります。また他の哺乳類と比べてもとても未熟な状態で生まれてくるため、親子の絆を強め、親が子どもをきちんと育てることができるように、また一方で子どもは親という安全基地で保護されながら育ててもらうような「絆」を強める役割も持つようになりました。

　オキシトシンは触れ合う親と子の双方に分泌されます。様々な効果がありますが、特に子供にとっては親への愛着の関係を築くことや、ストレス緩和効果があることが知られています。そしてその影響はその後もずっと続いていくのです。母親にとっても、子どもへの絆（ボンディング）を強めたり、伸びた子宮の収縮を促したり、射乳を促す作用などもあります。

≪続きはまた次回に≫

生命尊重ニュース11月号より　http：//www.seimeisontyou.org/

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