心から寂しさを味わった「燕の詩」

公開日：2019年03月19日カテゴリー：ブログ

　皆さん　こんにちは！　不妊相談ひとすじ２０年　宮崎市の漢方相談薬局・漢方の麗明堂、一般社団法人認定の子宝カウンセラー　薬剤師の金丸です。

　今朝、三男が入学のため、宮崎を離れて東京に旅立ちました。

　長男、長女、次男も大学から東京の生活を始めるようになり、４人の子どもたちが皆宮崎から離れてしまいました。

　自分の夢を追い求めて、自分の可能性をかけて花の都で頑張っている子どもたちのことを喜びながらも、心のどこかで寂しさが湧いてきます。

　この感情に浸っているときに、以前に道徳の研修会で学んだことのあった白楽天の『燕の詩』を思い出して読み返してみました。

燕詩　　　白楽天
梁上有双燕　　翩翩雄与雌　　　梁上に双燕あり　　　翩翩たり雄と雌と
銜泥両椽間　　一巣生四児　　　銜泥両椽の間　　　　一巣に四児を生ず
四児日夜長　　索食声孜孜　　　四児日夜長じ　　　　食を索むる声孜孜たり
青蟲不易捕　　黄口無飽期　　　青蟲捕へ易からず　　黄口飽くる期無し
觜爪雖欲弊　　心力不知疲　　　觜爪弊れんと欲すといへども　心力疲れを知らず
須臾千来往　　猶恐巣中飢　　　須臾千来往　　　　　猶ほ恐る巣ど中の飢を
辛勤三十日　　母痩雛漸肥　　　辛勤三十日　　　　　母痩せ雛漸く肥ゆ
喃喃教言語　　一一刷毛衣　　　喃喃として言語を教へ　一一毛衣をかひつくろふ
一旦羽翼成　　引上庭樹枝　　　一旦羽翼成る　　　　　庭樹の枝に引き上ぐるに
挙翅不回顧　　随風四散飛　　　翅を挙げ回顧せず　　風に随い四散して飛ぶ
雌雄空中鳴　　声尽呼不帰　　　雌雄空中に鳴く　　　　声尽くるまで呼べども帰らず
却入空巣裏　　啁啾終夜悲　　　かえりて空巣のうちに入り　啁啾して終夜悲しむ
燕燕爾勿悲　　爾当返自思　　　燕よ燕よ汝悲しむこと勿れ　汝まさに自ら思ひ返すべし
思爾為雛日　　高飛背母時　　　思へなんじ雛たりし日　　　　高飛し母に背ける時を
当時父母念　　今日爾当知　　　当時の父母の念　　　　　今日なんじまさに知るべし

現代語訳）

梁の上に二羽の燕　ひらひらと雄と雌とが
　　泥をくわえ、たるきの間　　巣を作り四つ子を産んだ　

　　雛は日に、夜に育ち　　餌を欲してちいちと鳴く
　　青虫は捕え難く　　幼い口は飽くときがない
　　くちばし、爪破れても　　魂は疲れをしらず
　　たちまちに十度往来するも　　　それでも恐る巣の中の飢え
　　三十日の間働きぬいて　　　母は痩せ、雛漸く育つ
　　喃喃と言葉を教え　　丁寧に羽根を磨く
　　ある朝、美しい翼ができ　　庭樹の枝に上げれば
　　羽根を広げ、後顧みず　　風に乗り四方へ散った
　　親は空に向かい泣き　　声をからして呼べど帰らず
　　空しき巣に戻り　　がっかりして夜通し嘆いた
　　燕よ、燕。嘆きたもうな　　己自身を振り返り見よ
　　思い出せ、君が幼き時　　高く飛翔して母に背いた日を
　　あの時の親の思いを　　今、まさに君が知るのだ

　　私が、初めてこの詩を目にしたのは、今から２０年ほど前で、当時子供たちがまだ小さかったことから、子どもたちが次々と親元を離れていく寂しさをここまで感じることができませんでした。

　しかし、大学進学と同時に長男、長女、次男が次々と宮崎を旅立っていき、最後に三男が出発していった今朝は、心の中にポカンと大きな穴が開いたようで、心の底から大きな寂しさを感じました。

　この詩の最後は、若き日の自分を思い出し、当時寂しさを見せずに見送ってくれた親の気持ちを、今まさに感じ知ることが書かれていますが、私も２０年前にこの詩を初めて学んだ時に、「子どもが遠くに行ってしまうことが寂しい！」ということが頭では分かっていても、心では感じきれずに、実際にその状況を体験して味合わなければ、本当にその気持ちになれなかった自分の未熟さを学びました。

　「心を大切に扱う」ということは、今の自分の気持ちや感情を無理に抑えこむのではなく、こう感じている、こう思っている自分が今ここに居るんだと受け入れることだ思っています。

　今のこの気持ちや感情を大切にして、しっかり味わって、受け入れて、そして乗り越えていきたいと思います。　

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