2022年3月 コラム
日本は、古来から人生を花に例えた和歌や俳句がたくさん残されています。
先日、旅行に行ってきた母から、旅館に泊まった時にとてもいい言葉の書いてあるコースターがあって、お尋ねしたらいただいてもよいとのことでしたので、私に見せてくれました。 花には、形や色や大きさや咲く時期や艶やかさ、柔らかさなどそれぞれの味を持っています。 私も若いころは花に対してそこまで興味をもって見ていなかったと思いますが、人生55年を来月に控え、自分の生きてきた人生を振り返りながら、コースターに書いてある『人生花づくし』の詩をしみじみと読ませていただきました。
親の教えは きくのはな 人の悪くち くちなしで
頭は垂れて ふじのはな 笑顔あかるく ひまわりで
愛をはぐくむ ばらのはな 心清らか しらゆりで
世は移ろいて あじさいの 月日は早く たちばなで
散り際さやか さくらばな 先は浄土の はすのはな
花も始めは種から芽が出て、双葉になって成長して上へ上へと伸びていき、それぞれの
味のある花を咲かせて実を残して枯れて土に戻る・・・ これはまさに、私たち人の一生とよく似ています。
どの咲き方が良いとか、どうなると良くないというのではなく、どう変化しようと、どう咲こうと、風が吹いて倒れようと、枯れようと、それはその花のかけがえのない一生。 この花の生き方を見て、自分の人生に照らし合わせながら一度しかない人生を有意義なものにしていきたいと思います。 人生最後の日に、「あ~、楽しい人生だった~」と心の底から言えるために・・・
薬剤師 金丸 幸市