2015年11月のコラム
今から20年以上前、私が漢方の修行で和歌山にいたときのお話です。印刷業をされている素晴らしい会長さんがおられて、私は、その会長さんのお話を聞きたくて、学びたくて、休みの日に何度も足を運びました。会長さんは私の顔を見ると「金丸さん、よう来たな~」と言われて、いろいろなお話を聞かせていただきました。当時その会長さんは85歳だったのですが、ご自宅から印刷工場の会社まで約4キロの道のりを毎日歩いて来られていました。
先日、当時の会長さんのお孫さんになる私の先輩(現社長)からお聞きした色紙に書かれていた言葉にとても感動しましたので、今回はその内容を紹介させていただきます。
如何なる教育も 逆境に及ぶものはない
苦境に陥れば 真剣にならざるを得ない
逃げようにも逃げられない立場に追い込まれて
はじめて自力で事に取り組むに至るものである
誰の力をあてには出来ず 助けを求めても得られぬ時
全力を振り絞って 事に当たるより外に道がない
踏みにじられ叩きのめされる中に 苦痛と冷酷さに堪えながら
不屈の闘志を燃やして解決を求めて彷徨する時
本当の実力が培われるのである 昭和57年5月吉日
この色紙は、当時の会長さんがお世話をされていた後輩の方に贈られた言葉で、贈られた後輩の方からいただいたコピーが会社に飾ってあるそうです。これは、会長さんが誰かに教わったものでなく、自身の人生で苦難を乗り越えてきた体験からにじみ出た言葉のようでした。
誰にも何時かは必ず苦難がやって来ます。苦難がやって来るか?来ないか?で右往左往するのではなく、苦難がやって来たときに、どんなに辛くても自分を成長させてくれる試練だと 前向きに逃げずに受け止めていくことの大切さを、後輩の方の幸せを祈りながら書かれたのだと思います。
当時の小柄な会長さんのお姿を思い浮かべながら、私にもそう教えていただいているのだと有難く読ませていただきました。
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