2009年9月のコラム
先月、阿蘇の大野勝彦美術館で大野勝彦さんの講演を聞きました。
大野さんは昭和19年熊本県菊陽町生まれの65歳。
45歳までは農家を営み、よその2~3倍も働くそのずば抜けた体力から
“鉄人28号”とも呼ばれ、数ある町や農業団体の役職をもつ正に熊本の
スーパーマンだったのですが、
平成元年7月22日…農作業を終え、トラクターの整備をしていて芯棒の上のゴミを取ろうとした瞬間に悲劇が訪れました。
何と大野さんの右手が巻き込まれてしまい、それをかばおうとした左手までが機械に引き込まれてしまったのです。
グイグイと両手が機械に入って死の恐怖が襲う中で
瞬時に3人の子供の顔が浮かんできて、
「俺はまだ死なれん!」と残っていた渾身の力を込めて
両手を引きちぎったそうです。
今までの幸せを全て失ったと絶望感を味わっていた事故から
10日目に子供たちから手紙が届き、
それを読んでから両手を失ったけど残った体で堂々とやろうじゃないか!と
腕に筆ペンを括り付けて素晴らしい詩をそして絵を描かれるようになるのです。
大野さんは、こう仰っています。
『人間の素晴らしさは、決して逆境に負けないことだ。
さまざまな痛みや悲しみは必ずやってくる。
出来れば避けたい事ではあるが、
その痛みや悲しみの中に実は大きなメッセージが隠されている。
だから、痛みや悲しみの中でそのことに気付いた人は大きく成長する。』
人生には上り坂、下り坂ともう一つ“まさかの坂”があると言われます。
しかし、まさかの坂(苦難)がやって来ても前向きに受け止めて、
乗り越えていく勇気を持つことの大切さを大野さんに教わったように思います。
コメントを残す