2020年4月 コラム
妻が願った最期の「七日間」
2月にテレビで見た宮本英司さん(71歳)が書かれた本【妻が願った最期の 「七日間」】(サンマーク出版 1,200円+税)を取り寄せて読みましたので、ご紹介をさせていただきます。この本は、宮本さんの書かれた記事が、朝日新聞の投稿欄(2018年3月9日)に掲載されてから反響があった宮本さんの奥さまの物語です。その後、この記事がSNS上でまたたく間に広がって、数日間で約19万人の「いいね」とともにシェアされました。
1月中旬、妻 容子が他界しました。入院ベッドの枕もとのノートに「七日間」と題した詩を残して。
≪神様お願い この病室から抜け出して 七日間の元気な時間をください
一日目には台所に立って 料理をいっぱい作りたい
あなたが好きな餃子や肉味噌 カレーもシチューも冷凍しておくわ≫
妻は昨年11月、突然の入院となりました。すぐ帰るつもりで、身の回りの ことを何も片付けずに。そのまま不帰の人となりました。
詩の中で妻は二日目、織りかけたマフラーなど趣味の手芸を存分に楽しむ。三日目に身の回りを片付け、四日目は愛犬を連れて私とドライブに 行く。≪箱根がいいかな 思い出の公園 手つなぎ歩く≫
五日目、ケーキとプレゼントを11個用意して子と孫の誕生日を開く。 六日目は友達と女子会でカラオケに行くのだ。
そして七日目。≪あなたと二人きり 静かに部屋で過ごしましょ 大塚博堂のCDかけて ふたりの長いお話しましょう≫
妻の願いは届きませんでした。詩の最後の場面を除いて。
≪私はあなたに手を執られながら 静かに静かに時の来るのを待つわ≫
容子。2人の52年、ありがとう。
この内容の記事が、読者の皆さんの心に響き、それがSNS上に広がって、出版までに至ったのです。100年先は、自分の命がないのは分かっていても、10年先は生きているだろう!1年先は、今と変わらないくらい元気に生きているだろう!と思い込んでしまいがちです。でも、それは全くの空想で、「絶対!」なんてことは絶対にありえないのです。だから、一日一日を 大切に生きることが大切なのです。一日一日に感謝して、有意義に過ごす。このことを命を懸けて教えていただいた本と出会えました。
ありがとうございます。