感動のお話 『六十本の薔薇』
皆さん こんばんは! 不妊相談ひとすじ25年 宮崎市の漢方相談薬局・漢方の麗明堂、一般社団法人認定の子宝カウンセラー 薬剤師の金丸です。
今日の宮崎は、朝から豪雨でしたが、皆さんのところは大丈夫だったでしょうか?
朝の時点では、避難勧告も発令しましたが、お昼からは晴れ間も見えてきました。
人吉、八代をはじめ、熊本県南部地方の皆さまお見舞い申し上げます。
さて、今日は月刊誌『れいろう』の6月号に掲載されています石川欽一さんの感動のお話『六十本の薔薇』をご紹介させていただきます。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
毎朝繰り返される挨拶も、その日は一段と力が入った。平成12年5月31日、いよいよ出社最後の朝だった。
思い返せば、昭和44年11月10日、父の還暦の年に我が家は倒産した。当時父と二人で織物の製造販売をしていたが、取引先の倒産で我が家も行き詰まってしまったのだ。一家は、父と母、私と妻と幼い三人の子、弟妹たちの三方に離散。辛く哀しい出来事だった。
そのとき私が再就職した先は、筆頭債権者の会社。おかげさまで、その後30年間無事に勤め、定年退職を迎えることができたのだ。
しかしその日、会計担当者が私のもとに持ってきた退職金の書類を見て、私は目を疑った。「えっ、これだけ!?会社のために一生懸命頑張り、それなりの成果もあげてきたはずだ。それなのに、なぜ?退職金を楽しみに待っているであろう妻に、なんと言おう・・・」
夕方、会社の皆さんに挨拶をして家路についたものの、もうすぐ我が家というところで車がストップ。私の心がアクセルの代わりにブレーキを踏み、先へ進めずにいたのだ。
自分の思いと現実との隔たりに、割り切れない腹立たしさと哀しみが頭の中を駆け巡っていた。そのとき、ふとこんな思いが頭をよぎった。「この隔たりこそが、過去の不徳の累積の結果ではないだろうか。神様は最後の最後に退職金を通してお示しくださったのだ!そうだ、自分の努力の報酬のすべてを神様にお任せして清算していただこう!!」
私はこの一件を神様の計らいとして、心の底から感謝することができた。そして、思いきりアクセルを踏み込んだ。
「ただいま」
「おかえりなさい!」
明るく元気な妻の声に迎えられ玄関をくぐると、食卓には赤い薔薇と白い薔薇の花瓶。「赤い薔薇が30本と白い薔薇が30本、全部合わせて60本、ほんとうにご苦労さまでした」と、いつになく優しい妻の声に、一瞬「困ったなぁ」と思った。
そんな妻の優しさに、私は事の一部始終を話した。すると妻は、「お義父さんが還暦の年、わが家は大きなマイナスでした。あなたが還暦を迎え、ようやく少しプラスになりました。退職金については、いちばん割り切れないあなたが割り切って帰ってきたのですから、それでよかったですね」と。夕食には、私の大好物のうなぎ丼を用意し、「あなたのこれからの人生は、きっと”うなぎのぼり”ですよ」とほほ笑みながら励ましてくれた。そんな妻の言葉の一つひとつが有り難くて有り難くて、私は返す言葉を失っていた。
以来、薔薇の花を見るたびに、私の心には、「六十本の薔薇」が鮮やかによみがえってくる。
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