心は天につながっている② 金澤泰子さん
皆さん こんにちは! 不妊相談ひとすじ20年 宮崎市の漢方相談薬局・漢方の麗明堂、一般社団法人認定の子宝カウンセラー 薬剤師の金丸です。
今日は、昨日の勉強会の神戸から宮崎に移動して、お昼からカウンセリングに入りました。
お天気はあまり良くありませんでしたが、それもまた風流でしたので、いつものように空からの写真をご紹介したいと思います。
金澤 泰子さん
(かなざわ やすこ)
1943年生まれ
1964年 短歌・馬場あき子に師事
1965年 明治大学卒業
1977年 書道「学書院」に入会・柳田泰雲に師事
1985年 6月 翔子さん誕生
1990年 東京に書道教室開設
【筆者の著書】
『愛にはじまる』(ビジネス社 2006年)
『天使の正体』(かまくら春秋社 2008年)
『天使がこの世に降り立てば』(かまくら春秋社 2010年)
『魂の書』(清流出版 2011年)
『翔子』(角川マガジン 2012年)
●涙の般若心経
翔子が小学3年の頃、書道教室を始めることになり、翔子にも初めて書を教えました。
学校の友達もたくさん来てくれ、翔子も喜んでいました。その矢先、学校に呼ばれ「4年生から身障者学級のある遠くの学校に移ってほしい」と言われました。私は身障者学級に入れるのを嫌だったわけではなく、お友達との良い関係が築けていて幸せなのにと、納得できませんでした。そして、先生との行き違いで、学校を決めずにボイコットするように休んでしまったのです。
家にいて、どうしたらよいかわからない中で、時間は膨大にあります。私は翔子に般若心経を書かせてみようと思い、親子で一日中写経に取り組みました。親子は、教えるのが難しいです。翔子も一生懸命書くのですが「なんですぐ曲がるの」「なんでこんなことができないの」「馬鹿だね」とつい言ってしまう。
今日こそは優しくしようと思っても、カッカしてしまいダメです。
しかし、どんなに叱られても、翔子は「やめて」「やりたくない」等マイナスな言葉は決して口にしません。私に叱られながら、ハラハラと涙を落として一行書くと休み、その間に必ず「有難うございました」と言ってくれるのです。この時の涙の跡が残っている作品が、翔子の書で一番人気の〝涙の般若心経″です。276文字の般若心経を10歳の翔子は毎日10組三千字、叱られながらも母親を慰めようと書いた結果、楷書の基礎を身につけたのです。
●闇の中には必ず光がある
30年間を振り返ると「闇の中には必ず大きな光があるんだ」と思います。あの時の般若心経がなければ、書家としての翔子はありません。もし普通学級に行っていたら、翔子自身は幸せだったかもしれませんが、書家にはなれなかった。この闇が長くて苦しいほど、そこには大きな活路が待ち受けているのです。
半年は学校を休んでいましたが、その後、やはり身障者学級に行くことになりました。遠くの学校に通うことで足も強くなり、電車に乗ることも覚え、翔子は喜んで通っていました。その時、私は翔子と一緒に苦しんできたと思っていましたが、翔子はダウン症を少しも嘆いていないし、苦しくもなかった。それなのに、親の私が将来を勝手に悲観して、苦しんでいたのです。
ある時、「ダウン症の書家」と書かれることが多いので、翔子に「ダウン症って何?」と聞きました。すると、翔子はしばしば考えて「書道の上手い人のことかな?」と答えました。障がい者全部とは言いませんが、特にダウン症の子供達は少しも身の上を嘆いていないし、我々が思うほど可哀想ではありません。昨年全国でアンケートを取られたところ、成人のダウン症の95%は幸せだと感じておられるそうです。
その後、高校は養護学校(特別支援学校)に行き、18歳で卒業すると、作業所への入所が決まりました。入所先に出す内申書に、高校の担任の先生が「子育てする能力のない親、だらしない」と書かれていたもの、それが間違って父兄に配られたのです。
その評価には背景がありました。翔子が14歳の時、主人が心臓発作で52歳で急死しました。彼は親から引き継いだ貿易会社を含め国内外に10以上の会社を経営しており、私がその処理にあたることになりました。半年後、頼りにしていた私の妹をガンで失い、翔子が「おばあちゃん」と呼んでいた友人に翔子を託し、私は仕事に奔走さぜるをえず、忘れ物が多かったりしたようです。しかし、既に作業所に内申書が渡っていたので、入所を断りました。翔子は小太りになり、私は家に引きこもって孤独に陥り、逃げ出したいほど苦しむことになりました。
≪つづく≫
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