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これまでに209 のコラムを連載しています(2001年7月から連載開始)

2012年
2012年2月のコラム
 先月末のある夕方、麗明堂がテナントとして入っているコープ佐土原の店長さんから、少しトーンの低い声で「閉店後にお話したい事がありまして…」というお電話をいただきました。あまり良いことではないことを感じつつ、何かあったのかな?と思って閉店後に電話を入れると、「私は、今日で異動することになりました。短い間でしたが、大変お世話になりました。」としみじみと仰いました。
 実は私たちの方が、改装オープンの時やイベントの企画の度に色々と親身になって考え、対応していただき3年間本当にお世話になった店長だったので、急いで手土産を持って事務所に行くと、お家に帰ろうとされているのに、スタッフの方が次々とお別れの挨拶に来られ、照れくさそうにお一人一人にお話しをされていました。その手には、持ち切れないほどのお花やプレゼントがあり、本当に店長さんのお人柄が伺えました。
 ちょうどその月に、福島正伸さんの「どんな仕事も楽しくなる3つの物語」という本を読んでいたので、その中の“人で溢れた駐車場”というお話を思い出し、そのお話の中に出てくる駐車場の管理人のおじさんとコープ佐土原の店長さんが重なって、仕事の最後の日が、自分がこれまでどのように仕事に関わってきたのかをまわりの人が教えてくれる日なのだということを改めて感じました。
 仕事というのは、辛かったり、面白くなかったり、たまには気分が乗らないこともあるでしょうが、実は“つまらない仕事”というのはなくて、仕事に関わる人の姿勢(仕事を通じて、人のお役に立てることを心を込めて感謝してどれだけコツコツと続けられるか)が真の仕事レベルを決めて、その人の人生をより輝かせることを今回学んだような気がします。
 仕事というのは、字の如く「仕える事」。つまり、してあげることではなく、「させていただく事」なんですよね。仕事をして働くすべての人が、仕事の本当の意味に気づき、輝いた人生を送られますよう、心より願っています。


『人であふれた駐車場』より一部抜粋 福島正伸 著

私は大学を卒業後、就職した会社をたった一日でやめました。何のために働くのか、とうしてもわからなかったのです。(中略)当時私は事務所のある会社まで、毎日車で通っていました。近くの駐車場には六十を過ぎたくらいの、管理人のおじさんがいました。「おはようございます、今日も天気でいい一日ですね」おじさんはいつも明るい笑顔で、年齢に合わずシャキシャキと仕事をこなしています。ある日、駐車場についたら、外はひどい土砂降りになっていました。困ったなあと車から降りられずにいると、おじさんが走ってきました。「傘忘れたんじゃない?これ持っていきなよ」「でもそれっておじさんの傘でしょ?」「私のことは気にしなくていいんですよ」おじさんはいつもこんな調子で、お客さんのことばかり考えてくれる人でした。駐車場は満車になることも多く、おじさんはいつも看板の前であやまっていました。「満車です、申し訳ありません」「やっと見つけたのにこまるんだよ!」中には文句をいう人までいます。「本当に申し訳ありません……」おじさんはいつも車が見えなくなるまで白髪頭を下げ続けていました。ある日、いつもと同じように車を止めようとしたとき、おじさんの笑顔がないことにきづきました。「実は今週いっぱいでこの仕事をやめることになったんです」「えっ!?どうしてですか?」「妻が肺を患っているんです、空気のきれいな田舎で二人でのんびり暮らすことにしました」「これまで本当にいろいろお世話になりました」、そういっておじさんは深々と頭を下げました。「お世話になったのはこっちのほうですよ……」私は何ともいえない寂しさをおぼえました。今日が最後というその日。私はおじさんへのちょっとした感謝の気持ちで、手みやげを持っていきました。そして駐車場に着いたとき信じられない光景を目にしたのです。小さなプレハブの管理人室の窓からは中がまったくみえません。色とりどりの花束がたくさんつみあげられていたからです。ドアの横には1メートル以上の高さになるほど、おみやげがつみ重ねられています。たくさんの花束とプレゼントに彩られて管理人室はまるでおとぎの国の家のように見えます。駐車場の中はたくさんの人でごった返しあちこちから声が聞こえてきます。「おじさんいつも傘を貸してくれてありがとう!」「あのとき重い荷物を運んでくれてとても助かりました!」「おじさんにあいさつの大切さを教えてもらいました……」人ごみの中心には笑顔のおじさんがいました。みんなが次々とおじさんと写真を撮っています。おじさんと握手をしてハンカチで目を覆っている人もいます。おじさんは一人ひとりと目を合わせ何度も何度もうなずいていました。私は列の最後にならんでおじさんと話す機会を待ちました。「おじさんには本当に感謝しています、毎朝とても気持ちよく仕事に取りかかることができました」「いえいえ私は何もしていませんよ、私にできることはあいさつをすることとあやまることぐらいです」「でも私はいつも自分が今やっている仕事を楽しみたい、そう思っているだけなんです」仕事の最後の日、自分がこれまでどのように仕事に関わってきたのかをまわりの人が教えてくれる、つまらない仕事なんかない、仕事に関わる人の姿勢が仕事をおもしろくしたりつまらなくしたりするんだ、私はそんなことをおじさんから学びました。

 
今月のコラムはここまで


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