特集）見えなくなって見えたもの③

　皆さん　こんにちは！　不妊相談ひとすじ２０年　宮崎市の漢方相談薬局・くすりの麗明堂、一般社団法人認定の子宝カウンセラー　薬剤師の金丸です。

　昨日、全ての荷物が新店舗に運び込まれました。

しかしですが、当然のことながら段ボールの山、山になっています。引っ越しを甘く見ていた～　と思いましたが、土日でやるしかありません。１１月１２日のオープンに向けて頑張ります！

　さて、今日は一昨日、昨日に引き続き、盲目のセラピスト　西亀真さんのお話の第３話をご紹介したいと思います。

 

盲目のセラピスト　　

幸せの入り口屋初代当主　西亀 真さん

昭和32年、広島県三原市生まれ。高校卒業後、大阪にある大手百貨店に入社。コンピューター部門でシステムエンジニアとして勤務。平成7年、治癒不可能とよばれる目の難病「網膜色素変性症」を発症。視力・　視界が失われてゆく中、関西カウンセリングセンターで資格を取得、社員初の産業カウンセラーに抜擢、任命される。現在、全国各地での講演活動と大阪市内にて「心眼塾」を開講中。著書に『幸せの入り口屋いらっしゃいませ』（ごま書房新社）がある。

～見失った人生の扉探しませんか～

〝0″を〝1″にする挑戦

記者）一万回も言えば、確かに慣れそうです。

西亀さん）では、どうやって１万回の「すみませぇーん」を言うか。

手っ取り早いのは、知らない所へ旅をすること。ということで、全国４７都道府県「ひとり旅」をすることにしました。しかも、目的地や宿泊先も特には決めず、持ち物も最低限。喜多川泰（きたがわやすし）さんの『ライフトラベラー　人生の旅人』という本に影響を受け、どんなに不自由でも「絶対笑顔で楽しむ覚悟」を持とうと心に決めました。

記者）あえて不自由な環境に自分を置かれたのですね。

西亀さん）とはいえ怖すぎたので、最初は私の住む三重まですぐに逃げ帰れる、名古屋を行き先にしました（笑）。それでも前の晩は不安で不安で・・・。布団に入ると、もう一人の自分が語りかけてきます。「本当に行かないとダメ？ホテルの予約もしてないし、誰かに会う約束があるわけでもない。辞めてもええんちゃう？」。でも❝ここを超えないと次はない！❞と思いきり、旅を始めました。

翌平成２６年５月７日の朝、心臓バクバクのまま名古屋駅で電車を降りると、「どちらへ行かれますか？」と駅員さんが来てくれたので、決めていた言葉を言いました。「この近くに百円ショップはないですか？」。

記者）なぜ百円ショップを？

西亀さん）旅の一つの目的は「すみませぇーん」を言い慣れることです。コンビニだと身近にあって「すみませぇーん」が言えずに、ゴールに着けてしまうかもしれませんからね。

駅員さんに教えてもらった方角に向かいました。行き止まりにぶつかったり、信号があったりでなかなか進めません。笑顔と覚悟を持って「すみませぇーん」を言いながら、１０人くらいの方に助けてもらい、なんとか百円ショップにたどり着けました。以前の私なら、百円ショップに行くことなんて、ごく「当たり前」の日常です。ただ盲人となった私にとって、その小さな一歩は、人生における大きな、大きな一歩でした。

『ライフトラベラー』にこんな一節があります。「❝０❞を❝１❞にするのは大変かもしれないが、❝１❞を❝２❞にするのは、少し簡単になる。❝２❞を❝３❞にするのは、もっと楽になる」。４７都道府県「ひとり旅」をやり遂げる中で、たくさんの❝０❞を❝１❞にでき、私の人生の可能性は大きく広がりました。