特集）命をつなぐ ①「９人兄弟の末っ子」

公開日：2018年09月26日カテゴリー：ブログ, 素晴らしいお話

　皆さん　こんにちは！　不妊相談ひとすじ２０年　宮崎市の漢方相談薬局・くすりの麗明堂、一般社団法人認定の子宝カウンセラー　薬剤師の金丸です。

　3日前の、９月２３日の秋分の日に『米と日本人』という題名で、宮田修さんのお話をご紹介させていただきました。

　この宮田さんの講演を、私は今から３年前に直接聞いたことがあり、とても聞きやすく分かりやすかったことが記憶に残っています。

　元NHKのアナウンサーとして皆さんもご存知の宮田修さんが、なぜ千葉熊野神社の宮司さんになられたのか？生命尊重において尽力されているのか？その生き方が、実に面白く素敵だと思いますので、宮田さんのこれまでの人生を振り返った講演を皆さんに読んでいただきたいと思います。

　今日は、第１回目「９人兄弟の末っ子」です！どうぞ、最後までお読みくださいませ。

Ｖｏl.34 No.392　発行◎生命尊重センター

元ＮＨＫアナウンサー　千葉熊野神社宮司　宮田　修さん

千葉県富里市生まれ。
昭和45年、埼玉大学卒業後、ＮＨＫに入局。全国各地の放送局に勤務。
大阪放送局で阪神・淡路大震災に遭い、第一報を伝えたことで知られる。地震発生当日はお茶で喉を潤しながら放送すること13時間超に及び、その後刻々と深刻度を増す被災状況を伝え続けた。その後、ＮＨＫの看板ニュース番組である「ニュース7」を4年間にわたって担当。神職資格は通信教育で修得し、平成15年から千葉県長南町の熊野神社など32の神社の宮司を務める。

命をつなぐ

　私は、40年間ＮＨＫのアナウンサーをしていましたが、今は千葉県の小さな町で、近隣の３２の神社の神主をしています。アナウンサーがなぜいきなり神主になったのか、不思議がられるのですが、実は一番不思議に思っているのは私です。今でも信じられないくらいですが、宮司の辞令をもらって15年になります。

　30年ほど前、この町にセカンドハウスを借り、週末には妻と二人で野菜を作ったりする生活を楽しんでいました。その家の大家さんは、その地区の代々の神主さんだったのです。

　ところが、その大家さんが健康を害され、後継者として白羽の矢が立ったのが私だったのです。「宮田さん、人助けだから、後を継いでくれ」と頼まれて驚きました。私は、子供の頃から人に頼まれると断れない性格なんです。でも今、本当に神主になって良かったと思っています。

９人兄弟の末っ子

　先日、私を含めた兄弟５人で、日光の温泉に行ってきました。私は「修」という名前が示すように、男５人、女４人の９人兄弟の末っ子です。兄弟のうち現在残っているのは、姉が３人、兄が１人、私です。

　私達兄弟は、毎年一回、定例の旅行会をしています。この旅行の費用は、末っ子の私が全部出します。兄や姉たちも出すと言いますが、「僕は赤ちゃんの時にオムツをかえてもらったから」と言うと、「それじゃあ、お世話になるかしら」という事になるんです。

　９人兄弟で、一番上の姉と私は２０歳違います。つまり、私の母は２０年間子供を産み続けたのです。旅行中、兄も言っていました。「小さい時は、兄弟が多いことが周りの友達に恥ずかしかった。でも今はこうして、妹や弟と一緒に温泉で、食事をして楽しい話ができて幸せだよ」と。私も全く同感です。

　両親が子供に命をつなぐという事は、つないでくれた子供が喜ぶことなんですね。私の場合は特にそうです。これはわが家の歴史を振り返るとよくわかります。

　宮田家は東京の下町にあって、父親が大きな写真館を経営していました。当時は戦争に行く人たちが、必ず写真を撮り、一般家庭にカメラなんてないので、写真館は大繁盛していました。母親によれば、一般のサラリーマンの一ヵ月の給料を一日で稼いでいたそうです。

　ところが、昭和２０年３月１０日の東京大空襲で、下町は焼野が原になりました。一夜にして写真館は焼け落ち、父親は収入の全てを失いました。宮田家大没落です。しかし、目の前の８人の子ども達を餓死させるわけにいかないと、一家で千葉に移住しました。そんな状況で、９人目の子供に命をつなぎますか？でも、当時３９歳の母は私に命をつないでくれたのです。これは、本当にありがたいことだと思っています。その時私が生まれていなかったら、ＮＨＫで４０年アナウンサーをやった私もいないし、何より、ここで話している私もいないわけです。

≪つづく≫

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