特集）見えなくなって見えたもの①

公開日：2018年11月08日カテゴリー：ブログ, 素晴らしいお話

　皆さん　こんにちは！　不妊相談ひとすじ２０年　宮崎市の漢方相談薬局・くすりの麗明堂、一般社団法人認定の子宝カウンセラー　薬剤師の金丸です。

　今日から本格的な引っ越しが始まりました。

正１２角形の建物で、自然な木造の作りで、中庭のある新店舗は、とても素敵です！

皆さん、今度は素敵な新店舗でお待ちしていますね。

　今日からは、とても感動した盲目のセラピスト西亀真さんをご紹介したいと思います。

盲目のセラピスト　　　　　　　　　　　　　　　　

幸せの入り口屋初代当主　西亀真さん

昭和32年、広島県三原市生まれ。高校卒業後、大阪にある大手百貨店に入社。コンピューター部門でシステムエンジニアとして勤務。平成7年、治癒不可能とよばれる目の難病「網膜色素変性症」を発症。視力・　視界が失われてゆく中、関西カウンセリングセンターで資格を取得、社員初の産業カウンセラーに抜擢、任命される。現在、全国各地での講演活動と大阪市内にて「心眼塾」を開講中。著書に『幸せの入り口屋いらっしゃいませ』（ごま書房新社）がある。

～見失った人生の扉探しませんか～

惨めな自分に涙したあの日

記者）働き盛りの47歳で両目の視力を失われたとお聞きしました。重い障害をお持ちとは思えないほど、今は明るいお顔ですね。

西亀さん）よくそう言われます。なぜ明るくいられるかというと、目が見えていた時よりも、今のほうが幸せなんです。そう言うと、ほとんどの人が「なんで？」って思うでしょうけれど、強がりでも負け惜しみでもなく、本心からそう思っています。もちろん、目が見えなくなったときは、落ち込みました。すべてを失った絶望感や誰とも分かち合えない孤独感を抱えて、ふさぎ込んだこともあります。

目の異変に気付いたのは、１９９５年の夏でした。コンピューターの仕事をしていたのですが、パソコンのマウスポインタ―がどうも見えにくく、ミスも増えています。病院へ行くと、医師は「網膜色素変性症」と書いたメモを私に見せながらこう言いました。「これは進行性の病気で、やがて視力を失います。そして残念ながら、今のところ治療法はありません」。帰り道、まず思ったのは、〝妻と子供にどう伝えようか″でした。

記者）ご家族もいらして･･･。見えなくなった後の人生に不安はなかったのですか。

西亀さん）ありましたね。視野が少しずつ欠けていくにつれ、不安と恐怖がどんどん襲ってきたんです。もともと、自分でできることは自分で自由にやりたいタイプでした。視力を失うことで、全てが失われてしまうような気持ちになりましたね。そんなある時、大阪の地下街を歩いていたら、柱に顔を思い切りぶつけたんです。バチーンと大きな音がして、恥ずかしくなりすぐにその場を立ち去りました。すると後から、涙があふれてあふれて、止まらなくなって。自分でも、わけが分かりませんでした。それから一ヵ月ほどして、自宅で何となくテレビドラマの音声を聞いていた時です。主役の若い獣医が、愛犬を失って学校に行けなくなった少女にこう言う場面がありました。「キミは可愛がっていたペットが死んだことが悲しくて、泣いているんじゃない。あれだけかわいがっていたペットを失った、自分がかわいそうで泣いているんだ･･･」ハッとしました。「あの人、目が見えないからかわいそうに、柱にぶつかったんだろうな」。そう周りの人に思われている〝自分″がものすごく惨めに思えて、傷ついていたんだ。それで涙が出ていたんだ、と。

記者）知らずに傷ついていたんですね。

西亀さん）道に迷ったときは「すみませえーん、すみませえーん」と誰かが気付くまで、声を上げ続けなければなりません。そんな自分が哀れで、また心が傷つきます。「人が自分をかわいそうと思っている」というのは、僕の勝手な思い込みですよ。でも、そんな枠を作って殻に閉じこもったら、もうどこにも出かけられない人生になってしまう。さすがに、そんな自分を克服できるか。考え続けて、たどり着いた答えは「慣れる」でした。門前払いが当たり前の訪問営業のセールスマンが、自信をつける方法は「断られることに慣れる」しかないと言いますよね。「すみませえーんを一万回言って、言うことに慣れてしまおう」。そう決心しました。

≪つづく≫

心の生涯学習誌　れいろう10月号より

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